新聞を読まない人が増えたとか。そう言えば、通勤電車で新聞を読んでる人が少数派になっちまったような感じです。若い時から、業界紙や経済新聞を当り前に読んできたアタシとしては、まァ、余計なお世話かもしれないが、読んだ方がいいに決まっているし、むしろ、ビジネスマンなら読むのも仕事と思わなくっちゃ。そう言ったら、うちの経企のお若いのが、「次郎さん、ちゃんと携帯でニュース見てますよ」だと。最近、とうとう若い者にまでファーストネームで呼ばれるンです。まァいいか、悪気はなさそうだし、親近感と思えば、それはそれでかわいいもンよ。でも、新聞くらいしっかりと読まないと、ビジネスの話はできないじゃァないですかねェ。携帯でニュース。読まないよりはいいけれど、それじゃァ見出しを見てるだけ、本質はつかめません。

 情報化時代、実は、誰もが知っている話なんざァ情報とは言わねェのに、携帯で知ったことを、貴重な情報と思っていたら大間違い。こんな単純なことが分からねェようじゃァいけません。第一、聞いた人がウ~ンとうなるくらいの話でなくちゃァ情報ではありませんやネ。だから新聞をシッカリジックリ読む。そうすれば、その行間から透かして見える真実や本質が分かるようになるんです。新聞読むのも勉強なんですよ。

 なのに、携帯で済ませようなんざァ、それは手抜きてェもの。まして、忙しいなんてェのは言い訳で、時間はつくるもの。早く起きれば時間なんざァいくらでもあるてェもんだ。何処其処(どこそこ)で事故や事件があった、会社や経済がどうなってる、そりゃァ知らないよりはいいけれど、一体、なぜそうなるのか、その背景にある真実や本質は何か、ここが一番肝心なんですよ。自分で読み込み、自分で判断し、本当のコトを知る。つまり、自分の頭で考えることが大事てェもんです。

 それと、新聞は自分で買わなくちゃあいけねェ。これも大事なこと。誰かに買ってもらったり、どこぞに置いてある新聞じゃァ真剣に読まない、と言うより読めねェてェもんですよ。自分で買ってこそ、自分のためになる。そうしなければ、それこそ携帯でサッと見るのと同じで、深いところに入ってはいけません。

 もう一つ、読む順番もありまして、とにかく一面から読む。これもちゃんと理由があって、編集者、つまり新聞を作っている者から見た優先順位の確認もしなければいけません。新聞の編集長といえば、新聞の責任者。その人が決めた優先順位は、とりあえず世間の標準なんですな。とりあえずと言うのは、それは世間一般的な優先順位であって、それを読んだ自分はどう思うか、それと比較するのも重要てェもんです。確かに、新聞各紙によっては上下左右の温度差はありますが、大事なのは、自分はどう考えるか、そこが肝心。それも、普段から新聞を読んでいるからこそ分かるてェことです。

 さて、経企のお若いの、少しは理解したようで、これからは自分で買って読むそうな。ヤレヤレとホッとしているそこに、またもやお局が乱入して曰く、「ちょっとォ、新聞もいいけどさァ、週刊誌も読まなくちゃァ」。「週刊誌かい?」。そう言うと、「だってェ、芸能人の動向も大切じゃない? 彼らの一挙手一投足、アタシたち、つまり消費者には最重要事項よォ」。さらに言うにこと欠いて、「昔は会社で新聞も週刊誌も、ほとんど全部取っていたのにさァ、それを、経費節減っていって止めちゃって、この会社ケチなのよォ」だって。

 ああ、お局は、週刊誌も、しかも会社の経費で読んでいたってェことか、さすがと言うしかありませんや…。クワバラ、クワバラ。